神奈川県不動産のれん会第30回(平成28年度)定例総会
神奈川県不動産のれん会は創立30周年を迎える運びとなり、創立30周年記念式典の開催前にホテルニューグランドの本館2階レインボーボールルームにて、第30回定例総会を行いました。
創立30周年記念講演会
日本銀行 横浜支店 支店長 岩崎 淳 様
「最近の金融経済情勢について」
[講演概要]
1.短観概要・全国と比較した神奈川県経済の現状
短観の業況判断について、2015年12月と2016年3月時点とを比較すると、全国では9から7に若干低下したが、神奈川県全産業の業況判断は共に6%ポイントと、当地では何とか持ちこたえた感じである。
また、短観で県内の中小企業の売上高、経常利益の状況を確認すると、2015年度に前年度と比べ増収または増益となった企業数が、減収または減益となった企業数を上回る良い状態であり、2016年度についても同様の見通しとなっている。
2.日本経済の動向
最近の企業収益は、過去最高水準である。雇用・所得環境も良いにもかかわらず消費動向は、冴えない状況となっている。また消費者物価指数は、エネルギー(石油製品・電気・ガス)は低下しているが、エネルギー以外は上昇していて、全体ではほぼ前年比0%となっている。
3.マイナス金利政策
日本銀行は、1月末の金融政策決定会合で、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入した。この「マイナス金利」とは、金融機関が日本銀行に預ける「当座預金」の一部(1月では260兆円のうち10兆円程度)にマイナス0.1%の金利を付けるものである。民間の預金金利をマイナスにする政策ではない。
この政策導入後、国債金利は大幅に低下しており、それを受けて短期プライムレート以外の銀行の貸出金利、例えば住宅ローン金利なども低下している。
4.世界経済の状況
最近米国の利上げや中国経済の減速等を受けて、新興国や資源国の経済動向への懸念が高まり、年初から金融市場の不安定化が生じている。世界経済の見通しも、先進国・途上国ともに下方修正が続いている。但し、本年1月時点の見通しと比較して本年4月には中国の経済見通しが0.2%ポイント上方修正され、6.5%となっているのは良いニュースである。
5.貸家の状況
世帯数に対する貸家戸数の比率を見ると、1998年~2013年までは全国的にも安定しており、需要に見合ったものであった。しかし世帯数が2025年頃から減少に転じると見込まれていることを勘案すると、需給の見極めがこれまで以上に重要になってきている。