【新年講演会】
講 師:山野美容芸術短期大学 名誉教授 医学博士 生山 匡先生
(ご専門:運動生理学)
演 題:「日々元気に過ごすコツ~原則を基にして~」
「講演概要」
1.健康的な生活の順番の原則
胃腸など消化器系の健康状態は、自覚しにくいが、日々の元気度と密接に関係しています。
特に、消化器系が弱い方は、生活の順番を身体の仕組みに合わせるのが大切です。
空腹を起点にすると、身体の仕組みにあう生活の順番は
空腹 ⇒ 運動・活動 ⇒ 食事 ⇒ 休息・睡眠 ⇒ 空腹 ⇒・・・ です。
特に、消化器系が弱い方は、食後は心身ともに穏やかにすることが大切です。
この順番が体の仕組みにあっていることを2つで説明することができます。
① 動物の生態
からだの仕組みは、ヒトも動物も、原則的に同じです。
例えば野生のライオンは、空腹になると狩り=活動します。狩りで得た食料を食べてお腹が満ちた
ら休息です。休息中に消化吸収がすんで、そのうちに空腹になればまた狩りに出かけます。動物はこの
順番で億年単位で生活してきたわけで、身体の仕組みはその順番に適応しているはずです。
② 自律神経
心臓や胃腸などの働きは意識して高めたり弱めたりすることはできません。その働きをコントロ
ールしているのが自律神経です。自律神経は、2種類あります。
例えば、運動中や緊張すると脈拍(心拍数)が多くなるのは誰でも経験してきましたが、それを
コントロールするのが交感神経。対して、安静にしていると、心拍数が少なくなりますが、それは
副交感神経の働きです。交感神経と副交感神経は正反対の働きをするわけです。
その働きの1部を表にまとめました。基本的な生理学といえます。
表のとおり、胃腸など消化器系の働きは、副交感神経が働く休息中に促進します。交感神経が働く
運動中や緊張すると消化器系の働きは抑制されます。つまり、食事をした後は、それを消化吸収する
ために休息するのがからだの仕組みにあった生活です。ただ、たとえばシマウマは、食後でもライオ
ンに追われたら逃げるのが優先。つまり、副交感神経より交感神経が優先です。しかし、食後に
いつも動き回るような生活は、消化器系を痛めてしまいます。
器官・機能 |
交感神経 (運動・活動・緊張) |
副交感神経 (休養・リラックス) |
瞳孔 | ↗拡大 | ↘縮小 |
心臓の拍数 | ↗(速い) | ↘(遅い) |
消化管運動 | ↘(抑制) | ↗(促進) |
消化液の分泌 | ↘減少 | ↗増加 |
3.運動健康法の原則
(1)運動の分類
①有酸素運動、②筋力、③柔軟、④神経(認知症の予防・改善には複雑な動作が有効)
に分類できる。
(2)有酸素運動
・人の体のすみずみに酸素や栄養分を届け、老廃物や炭酸ガスを回収/排泄する健康の土台をよくする運動。
・3ヶ月間の有酸素運動で血圧を下げた研究報告等を行った。
・歩行と少し息が弾む程度の運動(脈拍115~150/分)を比較すると、少し息が弾む程度の運動の方が、時間効率が3倍程度よい。
・自動血圧計を使うと脈拍も測れ、どのような生活をすると血圧にどのような影響があるかがわかる。脈拍が多い日は、体調が悪いことを意味する。
(3)筋肉のトレーニング
・筋肉は収縮することしかできない。収縮=筋肉が硬くなる=その筋肉を使っている=その筋をトレーニングしていることになる。これが筋トレの大原則。弱っている筋肉を鍛えるにはその筋肉が硬くなる運動をする。
・負荷が強いと、筋が太くなり筋力が増強する。弱い負荷で回数が多ければ、筋持久力が付く。
あるスポーツ種目のための筋力づくりは別にして、日常生活を、スムーズに疲れずにという目的なら、弱めの負荷で回数を多くすればよい。
・筋肉は全身に400種類程度あるが(骨は200本)、衰えやすい4種類の筋群は、①背中側の筋肉、②上腕の後ろ側の筋肉、③大腿の前側の筋肉、④膝とつま先を上げる(つまずき⇒転倒予防)筋肉である。
(4)柔軟運動・ストレッチ
・筋肉を柔らかくすることも大切。そのために筋肉を伸ばす=柔軟体操・ストレッチです。
(5)その他
・日頃の生活と格別違わないのにある筋肉が痛くなったら、その筋肉をできる範囲の強さと回数で縮めて、その後、その筋肉をしっかり伸ばす運動がよい。一晩寝ればよくなることも期待できる。
以上
ハイアットリージェンシー横浜 20階 Grand Ball Room(横浜市中区山下町280ー2)にて、新年講演会・賀詞交歓会を開催した。賀詞交歓会では、齋藤一郎会長よりご挨拶、大須賀毅副会長の乾杯の音頭でスタートし、その後は多くの会員の方々からのご挨拶やトークが続きました。新年講演会講師の生山匡先生よりウクレレの演奏も披露いただき、これでも会場は大いに盛り上がりました。最後は斉藤昌喜副会長の音頭による締めで新年会は終了しました。