本郷 尚 先生 税制セミナー
株式会社タクトコンサルティング 会長・税理士
神奈川県不動産のれん会 特別顧問
[講演概要]
恒例の、本郷 尚先生による税制セミナーです。税制セミナーは、毎年この時期に開催されており、具体例により、わかりやすく解説され、好評を博しています。
今回のテーマは、「平成31年度 税制改正と不動産業界の対応」です。
以下の内容等についてご講演をいただきました。
第一部 変化した相続の現場~相続財産・・不動産より現預金が増加
・平成29年の相続財産の金額は、現預金(58.1%)が不動産(41.9%)を大きく上回った。
・相続後に不動産は納税のため売却され、相続前は生活資金確保のため本人により処分されるケースが多い。
・経営者の奥様100人に聞いたアンケートでは、奥様は、経営等の経験がない人ほど、現物の不動産や自社株式の相続には関心がないといえる。
・奥様(奥様・娘・嫁・女性)の本音のトークからは、①判らないものは不要、②生前に整理してほしい、③会社や資産より個人と家族が大事、④自分が使えないものは財産ではない、といったことが見えてくる。
・男性と女性の価値観は真逆であり、男性は相続対策・税金対策を優先するが、女性は自分や家族の生存対策を優先する。女性にとって相続対策として例えば借金で不動産を買うというのは論外と言える。
第二部 税制改正と民法改正~長寿化社会と相続対策
(1)結婚・子育て資金の一括贈与及び教育資金の一括贈与の非課税措置の見直し
(2)相続した空き家に係る譲渡所得の特別控除の見直し
(3)住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例の創設
(4)民法改正(2020年4月1日)による配偶者居住権の創設
について詳細に解説いただきました。
(1)について
贈与の本質は一緒に楽しむことにある。七五三・ランドセル・学費といった順に贈与していけば親も一緒に楽しむことができるが、一括して贈与すると一回で終わりとなり、一緒に楽しむことができない。これらを考慮して贈与すべきである。
(4)の民法改正の背景と主な概要について
・戦前は、家は長男が継ぐものとして妻は相続権がなかった。昭和55年になって法定相続分の3分の1から2分の1になったが、これだけでは自宅に住み続けることができない。配偶者居住権の創設により、遺言書で相続することで建物全部や他の預金も一緒に相続できるようになった。
・相続税については心配ご無用です。①奥様は自宅の土地(330m2まで)の相続は8割評価減が適用される。②法定相続分か1億6000万円か、どちらか多い金額まで相続税が課税されない。③他にも死亡保険金や死亡退職金は、500万円×法定相続人の数まで非課税である。(①と②は申告期限までに相続が確定し、申告することが要件です)
・この点で民法が税法の財産分与の扱いに近づいたと言える。
・今後は特に遺言書を書き、奥様を守る相続対策をすることが大切です。
・そのためにも相続後に①年金の手続き②預金名義変更③生命保険金の手続き④アパートの名義変更等も行って、明日からの収入確保をしてあげてください。
[懇親会]
横浜駅西口にあるホテルプラム(横浜市西区北幸2-9-1)で初めて例会を開催した。4F会議室にて役員会、3F EORGE V EASTにて情報交換会・講演会が行なわれ、3F EORGE V WESTに移って、懇親会が開催されました。
情報交換会では、(株)大藤不動産・(株)長谷工コーポレーション殿の情報提供がありました。
懇親会では、まず小泉信一会長よりご挨拶、添田郁名誉顧問の音頭で懇親会がスタートしました。その後、多くの会員の方々からのご挨拶やトークで大いに盛り上がりました。最後は戸熊敦哉副会長の音頭による締めで3月度例会は終了しました。