【講演会】
講師:当会特別顧問 本郷 尚 先生(株式会社タクトコンサルティング顧問・税理士)
演題:<高齢化社会への対応「相続対策より生存対策」
~価値観が違う!“親と子”、“男と女”の相続~
「講演概要」
<第1部>相続対策より生存対策(しあわせ対策)
人生100年時代の現実
・65歳女性では、90歳まで2人に1人、95歳まで4人に1人が存命する。
・65歳男性では、90歳まで3人に1人、95歳まで10人に1人が存命する。
高齢化社会の現実の事例~まさかの資金不足(90歳超)
・70代の時は資金1億円以上あっても、老人ホームに入居して10年超えると、月30~50万円程度の入居費用等が生じて、資金不足で93歳で退出するケースがあった。
高齢者のお金に対する深層心理
・減るお金は怖くて使えず、いざという時の金は残しておきたい。しかし年金のように入ってくるお金は使える。
・年金資金を作るには、不要不急な土地/別荘/株式/債権を60歳~80歳のときに資金化して個人年金化するのがよい。1000万円で、年42万円から45万円の年金になる。(組み換え)
相続対策より生存対策
・子供側は相続対策を優先するが、親側は生存対策を優先する。
奥様を守る相続対策
・一般的な相続対策(男の相続)は、親から子への財産承継、相続税の節税、事業承継といった資産対策、家族対策である。
・夫から妻への相続(女の相続)は、妻の生活安定や生活保障を第一に考えた生存対策が重要である。
・なお一次相続においては、相続税に関して奥様は心配無用です。申告期限までに相続が確定して申告すれば、自宅の土地は8割評価減が適用され、配偶者の税額軽減等が適用されます。
遺言書は必ず書く
・「財産を妻に相続させる」と遺言書に書く。これにより、奥様の相続後の生活が安定し、奥様の立場を確保でき、2次相続までの生活が保障できる。
・公正証書を必ず書く。附言で、理由、気持ちを伝える。
遺言書を作成しない時は・・・?
・遺言書がないと、民法上と税法上のリスクがある。具体的には、子供がいない夫婦、家族関係が複雑なとき、相続人が外国等遠方にいるとき、家族に意思能力を行使できない者がいるとき、分けられない財産も多いときにリスクが生じる。
・遺言書を作成しない場合は、①自宅について、死因贈与を勧めます。(生前に「死因贈与契約」を結び、死後本登記する)②預金については、生前に夫から妻に預金名義を変更しておく。(相続税の申告は必ずし、遺産分割協議書は必要)
<第2部>男と女の価値観の違い
<元気な中高年(65~80歳)のケース>
自宅(戸建て)を立て替えるか、マンションに住み替えるか
・夫は、自宅をリフォームして将来賃貸することや、自宅を建て替えて将来売却すること等土地を守り相続税対策を考えるが、妻は自分の幸福や楽しむことを考えマンションに住むことを希望する等反応が異なる場合が多い。
相続した駐車場(更地150坪)をどうするか(親と子供2人)?
・Aさん(70歳)は土地の有効活用を考えたが、奥様は借入金を希望しない。
・そこで駐車場は1.5億円(手取り1.2億円)ですぐに売却し、子供2人とAさんの3家族で各4,000万円ずつ分けることにした。
・子供家族2人への分配は、孫の教育資金等に使えるよう20年かけて贈与した。(夫婦2人×1人100万円×20年間=4,000万円)
男と女の価値観の対比
|
男性(夫・息子) |
女性(妻・娘) |
生き方 |
資産を守る |
家族、自分を守る |
価値観 |
資産残高 |
思い出残高 |
大切にするもの |
会社・名誉地位 |
人生、幸福 |
好きな資産 |
土地・建物 |
現金預金、保険金 |
相続対策 |
税金対策 |
年金対策 |
贈与対策 |
大きく早く |
小さく長く |
以上
HOTEL PLUMM 3F GEORGE(横浜市西区北幸2-9-1)にて、講演会・懇親会を開催しました。講演会講師の本郷尚先生の著書「お元気ですか」(28年のビンテージ)と「お元気ですか」(20年のビンテージ)が先生のご好意により参加者に配布されました。講演会後の懇親会では大須賀毅会長よりご挨拶、山田智也副会長の乾杯の音頭でスタートし、その後、多くの会員の方々からのご挨拶やトークが続きました。最後は斉藤昌喜副会長の音頭による締めで本例会は終了しました。